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『神国日本のトンデモ決戦生活』
早川タダノリ 著 
2010年刊 合同出版



戦時中の国民意識を広告や報道写真を使ってたどる試みは
重要かつ効果的なものだ。
『婦人倶楽部』に掲載される衣料品の記事が色彩を失っていく様や、
慰問袋がデパートの画一的な量販品として盛り上がり
やがて物資不足から画一的かつ空疎なものになっていく様、
あるいは家庭の収入を支えていた戦時内職の存在、
戦時中でも4分毎に発着していた山手線など、
たいへん興味深いものである。
しかしその派手なヴィジュアルの背景にあるものを
さらに丁寧に、しっかりと探らなければ、
表面的な戦争批判に陥ってしまうだろう。
笑ったり嘆いたりするだけでは何の考えも残らない。
感覚的なものだけで組み立てられた「戦争反対」は脆い。
それは感情を高揚させる「神国万歳」にいつでもすり替わる。
戦争をしたかった人などいなかったはずなのに
それが大規模で徹底した戦時広告にひっくり返ってしまったのはなぜか。
政府も国民もみんなが壮大なトリックに引っかかっていた。
それを突き詰めて考え、注意していなければ、
いつでもまたどの国のどの国民もひっくり返る可能性がある。
そして一つの国がひっくり返れば
対抗措置として隣国がひっくり返り
隣国の隣国もひっくり返り
その隣国に反対する隣国がひっくり返る。
世界を白と黒に分けて殺し合うオセロゲームがはじまるのである。


 






 
 

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