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『マルセル・モースの世界』
モース研究会 著
2011年刊 平凡社新書



「贈与」とは、贈与されるモノのことではなくそこに加えられた力とその方向性のことである。
そのモノの上にも横にも中にも何もなくても力はそれを動かし続ける。
 

モースという人の精力的な活動について読んでいると、その活動がモース自身の意思だけではなく、
それを越えた力を加えられることによって動いていたような気がする。

まるでモース自身が大きな力を加えられた「贈り物」であったかのようにである。
 

彼は、自分に加えられ、与えられた力を素直に受け入れ精一杯行動した。
時代は晩年の彼を絶望的な状況に追い込みはしたが、モースの思想や研究やその行動は、
その時代の壁を軽々と越えるものになった。

モースの贈り物、あるいはモースという贈り物は現在も受け継がれ広がっている。
 

人は限りある存在でありながら、その限界をはるかに越えたものを志向し、それに挑む。
全身全霊を傾けて。
 

そこには信念があり、その信念が個人の損得を越えたものであれば、
その信念は個人の枠を越えて強く大きな流れを作り出す。

 
 

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